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出崎 亮; 杉本 雅樹; 吉川 正人
Innovative Processing and Manufacturing of Advanced Ceramics and Composites II; Ceramic Transactions, Vol.243, p.61 - 69, 2014/01
近年のエネルギー問題に鑑み、工業分野における省エネ化・高効率化は改善に取り組むべき最重要課題である。例えば、世界で最も利用される金属である鉄の製錬には、80%以上の気孔率を有する炭化ケイ素(SiC)フィルターが用いられている。従来のフィルターは、発泡プラスティックにセラミック粉末スラリーを流し込んだ後、発泡プラスティックを焼失されると同時に粉末を焼結する方法によって製造されてきた。しかしながら、この方法で得られるフィルターの圧縮強度は1MPaと低く、ろ過処理能力向上のために強度の改善が求められている。そこで本研究では現在実用化されているSiCフィルターの性能を超える、高気孔率と高圧縮強度を両立したSiCフィルターを開発することを目的とし、ケイ素系高分子と発泡剤の混合物を出発原料とした、ダイレクト・フォーミング、放射線架橋、焼成の工程からなる多孔質SiC材料の製造プロセスを検討した。その結果、数十数百mの気孔径分布、80%の気孔率、従来の3倍となる3MPaの圧縮強度を有する多孔質SiC材料を得ることに成功し、本製造プロセスが高性能SiCフィルターの開発に有望であることを明らかにした。